有料記事
投稿日 2023年 11月 01日
目次
Web3業界においては、ユーザーにシームレスな体験を提供することが求められれています。このコンテキストにおいて、DAppがどのブロックチェーン上に存在するかという観点よりも、様々なブロックチェーンでユーザーがスムーズにサービスを利用できるかという「マルチチェーンの相互運用性(Interoperability)」の観点がより重要視されています。
2021年から2022年にかけて、モノリシックチェーンとマルチチェーンの間での議論が活発化し、その中でSolanaやLUNAなどの代表的なチェーンが勃興し、現在ではAptosとSuiが市場での関心を集めています。
AptosとSuiは、Meta社のブロックチェーンプロジェクト、Diem(旧Libra)から派生したものであり、両者ともにMoveというプログラミング言語を採用しています。
本レポートでは、特にAptosに焦点を当て、Aptosが採用するMove言語とステートマシンであるMoveVMについて概説します。
さらに、従来のプログラミング言語とステートマシン、すなわちSolidity/EVMやRust/WASMと比較し、どのような強みを持つのかについても詳しく解説を行います。
Facebook(現Meta社)のDiemプロジェクトチームは、既存のブロックチェーン業界で広く用いられているプログラミング言語、Solidityにおいて二つの限界を発見しました。
1)はじめに、Solidity言語には二重支払い(ダブルスペンディング)攻撃や再侵入(リエントランシー)攻撃など、セキュリティ上の脆弱性が存在します。
もちろん、Solidityを用いたEthereumなどのブロックチェーンは合意形成アルゴリズムによってこれらの攻撃を防いでいますが、言語自体がこれらの脆弱性を内包していることは事実として残っています。
2)また、Solidityではトランザクションの並列処理が困難であり、これがボトルネックを引き起こす可能性があります。現状、二重支払いを防ぐために、Solidityはスマートコントラクトやその他のトランザクションを順序立てて実行する必要があります。このような順序立てられた実行がパフォーマンスの障壁となり、ブロックチェーンの拡張性を阻害しています。
このような背景から、Diem(Meta社のブロックチェーン事業部)チームは、従来のプログラミング言語であるRust言語を基盤とし、上記のデメリットを補完した新しいプログラミング言語、Moveを開発しました。Rustは優れた言語であるものの、Rustでそのままスマートコントラクトを構築するとコードが冗長となる可能性がありました。
それを踏まえ、Aptosは従来のMoveを補完したAptos Moveとして、Suiはオブジェクト指向言語であるSui Moveとしてそれぞれ発展しています。
この続きを読むには
この記事は会員限定の記事になります。
登録すると続きをお読みいただけます。
タグ
EVM
無料公開
Layer1
MoveVM
お問い合わせはこちら
専門的なリサーチャーのリサーチしてほしい内容がある
新規事業のアイディア出しからコンサルティングしてほしい
その他、ブロックチェーン事業に関する全般的な相談をしたい