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ビットコインレイヤー Part 4:トラストレス金融システムへの道のり

投稿日 2024年 03月 24日

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目次

この記事は2024年1月18日にSpartan Groupが公開した「Bitcoin Layers: Tapestry of a Trustless Financial Era」を翻訳・校正したものであり、ビットコインエコシステムの開発に関する進捗について全般的に取り扱っています。この記事は、合計4部シリーズで構成されており、DeSpreadで翻訳し、CryptoTimesで校閲しています。2023年12月に作成された英文のオリジナルレポートの全文は、このリンクを通じてご確認いただけます。

Part 4:トラストレス金融システムへの道のり



ビットコインがもたらすトラストレス(信頼不要)の金融システム


2023年のビットコインエコシステムは、2017年のイーサリアムブームを彷彿とさせる大きな転換に包まれています。情熱的な開発者、投資家、コミュニティメンバーが一堂に会し、ビットコインレイヤー全体にわたる可能性を探求しているのです。

現在ビットコインが業界最大の時価総額と市場シェアを誇っていることは事実です。そして、ビットコインが2009年の誕生しながら引き起こした「信頼の革命」を、今やその本来の目的である「真のトラストレス型金融システム」実現の重要な時期を迎えています。

ビットコインエコシステムの観点から見れば、ビットコインLayer-2市場には無限の可能性が秘められています。その全容を垣間見るため、まずは既存のイーサリアムLayer-2を見てみましょう。以下では、ビットコインLayer-2の時価総額推定を試みています。

イーサリアムの場合、全時価総額に対するLayer-2のTVL比率は約5.62%です(公開時点)。これをビットコインに当てはめて計算してみると、

[低迷期] ビットコインLayer-2の時価総額は約48億ドル。公開時点のイーサリアムL2市場の約10%(0.56%)。

[通常時] ビットコインLayer-2の時価総額は約240億ドル。公開時点のイーサリアムL2の約50%(2.81%)。

[好況期] ビットコインLayer-2の時価総額は約480億ドル。公開時点のイーサリアムL2の同等の比率(5.62%)。

この予測は、今後2年間でビットコイン上のビルドが着々拡大すると想定し、現在の熾烈な市場環境を踏まえて行ったものです。既存インフラとの連携により、ビットコインLayer-2とプロトコルスタンダードの開発が加速されれば、2025年にかけてビットコインLayer-2市場は240億ドル規模に達すると見込まれます。

次に、上記の三つのシナリオに大きな影響を与えると思われる潜在的ロードマップや業界動向を挙げます。


短期ビジョン:オーディナルズの文化的影響の持続


ビットコインエコシステムに大きな影響を与えたオーディナルズの文化的反響は当面続くでしょう。芸術品やコレクタブルをビットコインブロックチェーンに統合できるこのユニークな技芸は、真実性、創造性、永続性を重視するコミュニティの高い共感を呼びました。この文化的な反響は、オーディナルズのビットコイン内での地位を確立し、外部からも多様な人々を惹きつけ続けています。デジタル時代の精神性を体現したオーディナルズは、既存の枠を超えて、ビットコインのリーチと影響力を拡大し続けることでしょう。

2023年末までに、オーディナルズの急速な普及により、ビットコインはスマートコントラクト機能を持たないままでも、ソラナを抑えて最大のNFTプラットフォームとなりました。11月の間にビットコインNFT(オーディナルズ)の売上高は500%も増加し、イーサリアムやソラナを上回りました。オーディナルズ登場から約1年足らずでこの成果が上がったことから、ビットコインの不変性と永続性によりビットコインネットワーク上の資産がより高い価値を持つことが実証されました。

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チェーン別NFT取引量 (出典: The Block, CryptoSlam)

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OnChain Monkey NFTがビットコインNFTに移行し、価格が倍増(出典: Metagood

OnChain MonkeyのNFTがビットコインNFTに移行した後、価格が2倍になるなど、ビットコインNFTの人気を実感させる出来事が相次ぎ、一般の人々のオーディナルズへの関心の高まりをうかがわせます。今後さらに多くのユーザーがビットコインエコシステムを探求し、分散型の金融やゲームなど他の用途へと自然につながっていくことでしょう。この好奇心は大きな変化の端緒となりますが、トランザクション速度、スマートコントラクト互換性、拡張性などの根本的課題は残されています。

  • 例えばビットコインでは、イーサリアムと同等のユーティリティやガバナンス機能を持つトークン(BRC-20 vs ERC-20)を発行できません。
  • このようなプロジェクトはエクイティ調達に頼らざるを得ず、自身のトークンを使ったコミュニティ構築ができません。
  • その解決策の1つとして、SIP-1036との代替可能トークン規格などを用いStacks上でスマートコントラクト的機能を実装するなどの試みがあります。
  • その他、MultiBitのようにBRC-20とERC-20間の相互運用性を図るブリッジも登場していますが、完全解決には至っていません。

こうした課題を解決するには、着々的なイノベーションが不可欠です。 ビットコインLayer-2はビットコインのファイナリティを100%継承しつつ、トランザクションを遅滞する方向で進化し、その波及がLayer-1にも及んでいます。開発者やファンもさまざまなユースケースを模索し続けています。

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現在のほとんどのイノベーションはビットコインLayer-1を中心に展開されている(出典:ALEX


中期ビジョン:ビットコインLayer-2の飛躍と新たなユースケースの台頭


ビットコインエコシステムはStacksのナカモトリリースやsBTCの導入など、Layer-2技術を中心に大きく発展していくことが見込まれます。特にこれらの技術は、ビットコインベースの分散型金融(DeFi)やアプリケーションの分野で目覚ましい進化を遂げるでしょう。

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Stacksエコシステムの成長とビットコイン向けスマートコントラクトの到来(出典:Stacks

ブロック時間が従来の約10分から5秒に大幅に短縮され、セキュリティも向上することで、 「イーサリアムのように」 スムーズなユーザー体験が実現します。これは新規開発者の呼び込みと、さらなる普及・イノベーションを促進する上で極めて重要な役割を果揮でしょう。

  • ファーストブロックとsBTCの実装により、Stacksは NFTマーケットプレイスなど高性能が求められるBTCベースのアプリを提供できるようになります。オーディナルズやL2 NFTコレクションの円滑な取引が可能になるでしょう。
  • 特にビットコインDeFiは、sBTC導入後に貸借プロトコルを中心に大きく成長すると予想されます。Zest Protocol チームはすでにStacksベースの関連サービス開発に取り組んでいます。
  • ALEXは様々なDeFi機能を潜在中で、公開時点の取引高は5億ドルを超え、すでにsBTCベースのスワップマーケットを開発しています。ユーザーはStacksで自動的に報酬を上げながら、自然と他のアプリへとつながっていくことでしょう。

こうしてイーサリアムのようなユーザー層用の好循環を生み出し、インフラが整備されるにつれ、ビットコイン全レイヤーで新しい活用事例が次々と登場し、エンドユーザーとの接点が拡大していくでしょう。 ビットコインエコシステムが持つ最大の強みは、業界最大級の潜在的TVLとともに、メインストリームユーザー向けにも開かれた幅広いターゲット層を持つことです。このエコシステムの発展を後押しする主要な取り組みが進行中です。

  • トラストマシーンズ(Trust Machines)は、ビットコインネットワークの価値を最大化する新たな活用事例を提唱し、ビットコイン絡繰の成長を目指してアプリケーションの開発に取り組んでいます。
  • 開発者の流入が見込まれるため、ヒロ(Hiro)はビットコインレイヤー全体にわたる開発者ツールの強化に努めています。
  • エックスバース(Xverse)レザー(Leather)ライダー(Ryder)などのウォレットは、ビットコインレイヤーベースの様々な資産に対応しており、大規模な普及を目指し、スムーズなユーザー体験の提供に注力しています。
  • バイナンス(Binance)、マジックエデン(Magic Eden)、OKXといった取引所は、オーディナルズの人気を受けてオーディナルズ専用のマーケットプレイスを開設しました。OrdzaarGammaといった新規マーケットプレイスも急速に成長し、OnChainMonkeyも最近Osuraというマーケットプレイスを立ち上げました。
  • 注目すべき新たな動きとして、Ordz Gamesが初のビットコインゲームでBRC-20トークン$ORDGを導入しました。
  • Trustless ComputerはNOSというビットコインLayer-2をベースにfriend.techのプロジェクトである「New Bitcoin City」を立ち上げ、2023年10月時点でTVLが100万ドルを超えています。
  • さらに、StackingDAOが2023年12月にStacksの流動性トークン$stSTXを通じてリキッド・スタッキング機能を導入しました。
  • 加えて、アニモカブランド(Animoca Brands)のデアワイズ(Darewise)がオーディナルズベースのメタバース開拓に着り出し、ビットコインエコシステムの新たな可能性を切り開いています。
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ビットコインアプリケーション(2024.03)

結局のところ、ビットコインLayer-2に基づくエコシステム拡張は、新機能やユーザー層の拡大をもたらすだけでなく、ビットコインをグローバルなブロックチェーン絡繰と結びつけるという点で、極めて意義深いものとなります。 アレックス(ALEX)のようなプロジェクトは、ビットコインをイーサリアムなど他のエコシステムと接続するため、BTCベースの自由参加型イールドステーブルコインやエックスリンク(XLink)といったBTCクロスチェーンブリッジを設計し、ビットコインのエコシステムを拡張させる最前線に位置しています。こうしたイニシアチブは、エコシステムを外部と接続し、ビットコインの生産性をより引き上げる上で極めて重要であり、長期的には業界全体で様々な金融イノベーションやサービスの基盤を築くことになるでしょう。

さらに、Stacksで開発が進められているスケーラビリティソリューションは、Layer-2レベルでビットコインエコシステムと他ブロックチェーンネットワークの相互運用性を大幅に高める存在となるでしょう。今後のナカモトアップグレードに伴い、StacksはEVMサブネット、Rust VMなど、多様なプログラミング言語や実行環境をサポートする新しいサブネット(Subnet)を導入する予定です。加えて、StacksにWASMのサポートを統合する作業が進行中で、ナカモトアップグレード時に活用できる見込みです。2023年12月には、Stacksのエコシステムに関する実働グループが新しいClarityWASM仮想マシン統合の詳細を公開しました。統合が実現すれば、Stacks環境でRust、Solidityなどの汎用的な開発言語もサポートされることになります。

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サブネットや各種VMのサポートによるStacksのスケーラビリティが向上(出典:Stacks Whitepaper

長期ビジョン:機関による採用に向けた道筋


長期的には、ビットコインは機関によるデジタル資産・分散型金融の採用を主導する役割を果たすことでしょう。ビットコイン現物ETFの承認は、ビットコインへの機関参加における最も重要なマイルストーンと見なされています。ETFの承認は、ビットコインを原資産とした金融商品・サービスに注目が集まる機関を中心に、大規模なパラダイムシフトを起こすと想定されます。ビットコインは最も確固で信頼した審査を経たアセットクラスの1つとして認識されており、幅広い機関の参入が目前に迫っています。

ビットコイン現物ETFの認可によると、ビットコインの優れたセキュリティと税制メリットを生かし、「ビットコインネイティブ」な取引や複利性商品への需要が急増すると予想されます。この高まる関心は、様々な規制に対応したビットコインベースの金融商品の開発を後押しするでしょう。この変化に機を見た伝統的銀行は、ビットコイン関連の新商品をプライベートチェーンと統合し、機関顧客の大規模採用を促進できると期待されています。

ビットコインDeFiエコシステムと既存の金融システムが組織的に統合されれば、一過性の資金投入以上の意味を持つことになり、極めて重要です。これにより、伝統的金融とDeFiの長所が融合したユニークなシナジー効果が生まれます。ビットコインのセキュリティと透明性を基盤とする融合システムは、既存の機関金融システムを再定義する可能性を秘め、従来の金融と現代のシステムの境界をなくすかもしれません。

これらの文化的変化を契機に、技術革新と制度的採用が進むことで、ビットコインの市場価値やエコシステム内のTVLが大幅に増加すると期待したいます。ビットコインは単なるデジタル資産にとどまらず、新しい無信用取引の金融パラダイムの基礎となるでしょう。


結論


ビットコインが単なる休眠資本から、分散型金融向けの活力ある基盤技術へと進化できるのは、これまでビットコインネットワークの安定性とセキュリティが実証されてきたためであり、8500億ドルの市場価値がそれを裏付けています。しかし、主な課題は、ビットコインをネットワークとしての機能の活用度が低いことです。つまり、ネットワークとしてのビットコインとデジタル資産としてのBTCの違いを見落としてきたのです。ビットコインの持つ潜在能力を最大限に発揮し、単なる価値の保存手段から本物のビットコイン絡繰の中核インフラへと変貌するには、ネットワークの機能を十分に活用することが不可欠なのです。

この変貌は、ビットコインコアネットワーク(Layer-1)のスケーラビリティ問題を解決するため、「レイヤー」の開発が始まったことから端を発しています。特にイーサリアムのスケーラビリティ改善から大きな影響を受けており、オーディナルズの文化的・発展的影響によってこの動きは加速しました。確かにSegWitやTaprootといったLayer-1レベルのアップグレードで一部課題は解決されましたが、トランザクション手数料の高騰などの問題があり、Stacksのような高度なLayer-2ソリューションの必要性が改めて浮き彫りになりました。

2024年のビットコイン半減期とビットコイン現物ETFの承認が見込まれる中、ビットコインの開発は活発になり、より拡張性および安全性の高いエコシステム構築が進められています。これらの進展により、特に大規模な採用が促進されると期待されており、伝統システムと分散システムを完全に融合する新金融パラダイムの礎にビットコインが位置づけられるでしょう。中でもビットコインベースのスマートコントラクトは、オーディナルズの文化的影響が広がり、DeFiやゲーム等のユースケースが増えるにつれ、より多くの注目と資金を集めることでしょう。

中期的観点からは、Stacksのナカモトアップグレードや sBTCリリースなど、ビットコインLayer-2技術の目覚ましい進化が、DeFiエコシステムに大きなイノベーションをもたらすと確信しています。これらの技術によって、よりスムーズで円滑なユーザー体験が実現し、ビットコインベースのNFTマーケットプレイスやDeFiアプリケーションに新たな可能性が開かれるはずです。

長期的に見れば、ビットコインはデジタル資産と分散型金融の制度的採用を主導する中心的存在となるでしょう。その第一歩がビットコイン現物ETFの承認です。ETFが認可されれば、ビットコイン関連の金融商品・サービスへの機関投資が活発化し、伝統金融と分散型金融システムの間に新たなシナジーが生まれることでしょう。これは一過性の資金流入ではなく、両者の長所が融合することで、機関金融に新時代が開かれるということです。

よって、ビットコインの市場価値とそのエコシステム内のTVLは大幅に高まり、分散型金融の未来に向けた新たな局面が切り開かれることになるでしょう。オーディナルズ、ナカモトリリース、Stacksの sBTC等のイノベーションや、ビットコイン現物ETFの承認を踏まえた機関採用の可能性などを背景に、ビットコインはただ関連性を維持するだけでなく、積極的に金融の未来を形作り、新しいトラストレス型取引の金融パラダイムの基礎として位置付けます。

免責事項


本記事は情報提供のために作成されたものであり、暗号資産や証券その他の金融商品の売買や引受けを勧誘する目的で使用されたり、あるいはそうした取引の勧誘とみなされたり、証券その他の金融商品に関する助言や推奨を構成したりすべきものではありません。 本記事に掲載された情報や意見は、当社が信頼できると判断した情報源から入手しておりますが、その正確性、完全性、目的適合性、最新性、真実性等を保証するものではありません。 本記事上に掲載又は記載された一切の情報に起因し又は関連して生じた損害又は損失について、当社、筆者、その他の全ての関係者は一切の責任を負いません。暗号資産にはハッキングやその他リスクが伴いますので、ご自身で十分な調査を行った上でのご利用を推奨します。 本レポートは、Despreadが作成に協力しています。Despreadや筆者は、本文中で触れている暗号資産を保有している可能性があります。こちらのレポートに書かれている見解は、筆者の個人的なもので、情報提供のみを目的としています。トークンの売買やプロトコルの利用を推奨するものではありません。また、本レポートは投資アドバイスではないことをご留意ください。


翻訳: Earl, DeSpread
校閲: arata, CryptoTimes

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