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投稿日 2024年 04月 06日
目次
本レポートでは、Bitcoinのブロックチェーン上で発行できるFT(ファンジブルトークン)の規格である「Runes Protocol」(以下、Runes)について解説します。
RunesはFTとして他にはない新しい機能を持っているというわけではありませんが、Bitcoin上のFTとしてよく知られるBRC-20が抱える課題を解決するというミッションのもと開発されました。
Runesの本質を理解する上で欠かせない背景やコンセプトまで遡って解説しますが、既知の内容は読み飛ばしていただくか、情報の再整理にお役立てください。
RuneStonesと呼ばれるOrdinalsのNFTプロジェクトに関しては、下記の記事を参考ください
RuneStoneがOrdinal市場にもたらした影響 - CT Analysis
Ethereumはスマートコントラクトという機能のおかげで、データの書き込みやトークンの発行、アプリケーションの展開ができるようになっています。
一方で、Bitcoinにこのような機能は備わっておらず、スマートコントラクトを利用する際、これまではRootstockやLiquidのようなサイドチェーンソリューションに頼らざるを得ませんでした。
このような状況を解決しようとデベロッパーのCasey Rodarmor氏が考案したのがOrdinal Theoryというものです。構想は極めてシンプルで、BTCの最小単位であるsatoshi 1枚1枚に被りのない番号を付け、それぞれにデータを書き込めるようにしよう、というものです。
このような方法でsatoshiにデータを書き込むことをInscriptionと呼びます。Satoshiを非代替的に取り扱うため、生み出されるものは当然1枚1枚が異なるNFTとなります。Ordinal TheoryではこれをNFTではなくデジタルアーティファクトと呼んでいます。
EthereumのNFTは、実際のデータはIPFS等に格納してNFT自体はそのリンク先を示すような設計であったり、スマートコントラクト側からメタデータの改変を指図できたりしますが、Ordinal Inscriptionはデータそのものだけが書き込まれ、後に内容を改変することはできません。
前者を便利と捉えるのがイーサリアムのNFTですが、Ordinal Inscriptionは逆に後者の完結性、パーミッションレスさ、不可変性を良しとしています。NFTではなくデジタルアーティファクトとわざわざ別の名前をつけるのも、こういった理念の違いを表すためです。
名称 | Ordinary Theory | Inscription | デジタルアーティファクト |
---|---|---|---|
意味 | BTCの最小単位(satoshi)1枚1枚に一意な番号を振るという構想 | Ordinal Theoryに基づいて番号が振られたsatoshiに様々なデータを書き込むこと。 | Ordinal Inscriptionによって生み出されたNFT。 |
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