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投稿日 2024年 12月 24日
目次
本レポートは、Solana上で$BTCをはじめとする非プログラマブルなチェーンのアセットを安全にブリッジし、DeFiで活用することを目指すZeusNetwork(ZN)の包括的な解説レポートです。
前半では、ZNの中核となるZeusLayerの技術的特徴として、クロスチェーンアセットの窓口機能、ZPL(Zeus Program Library)によるトークン規格、そしてZeusNodeによる分散型セキュリティの仕組みについて解説しています。
中盤では、ファーストプロトコルとなるApolloの機能や、$zBTCの特徴、既存のラップBTCとの比較分析を行っています。また、ZeusNodeガーディアンのデリゲート制度やエポック制についても詳しく説明します。
後半では、現在の$BTC市場における流動性の分析や、ETF導入による市場の変化、そしてSolanaのDeFiエコシステムにおける可能性について考察します。さらに、将来的なUTXOベースのトークン($LTC、$DOGE、$KAS等)への対応計画についても解説しています。
※UTXOベースのトークンとは、BitcoinやLitecoinなどスマートコントラクトの実行機能を持たないシンプルな構造のブロックチェーンのアセット。
出典:https://x.com/ZeusNetworkHQ/status/1856710830563491862
ZeusNetwork(以下ZN)は、様々なチェーン上のアセットをパーミッションレス且つシームレスにSolana上にオンボードすることを目的としたプロジェクトです。
$BTCをSolana上で利用可能にする方法として、既にCoinbaseやKrakenが提供するラップ$BTC($BTCを別のブロックチェーン上で表現したトークン)である$cbBTCや$kBTCが存在していますが、これらは取引所を介して$BTCをSolana上にオンボードする中央集権的な仕組みとなっています。
出典:https://x.com/ZeusNetworkHQ/status/1826245542630019189
ZNのファーストプロトコルAPOLLOが発行予定とするラップ$BTC「$zBTC」は、取引所などの中央集権的なインフラを必要とせず、パーミッションレスで分散化された仕組みを採用することで、より安全で信頼性の高い$BTCの活用を実現します。
また、Solanaにオンボードするアセットは$BTCだけでなく、Bitcoin上に存在するOrdinalやRuneに加え、Litecoinの$LTCやDogechainの$DOGEなど、他のブロックチェーンのネイティブトークンにも対応予定となっています。
出典:https://x.com/dappiokeeper/status/1836108357608050948
Solanaのアジアにおけるパイオニア開発者の1人であるJustin Wangは、2023年のビットコインカンファレンスで多くのレイヤー2プロジェクトを分析した際、独自チェーンの構築ではなく、高速で低コストなSolanaの基盤を活用する新しいアプローチを着想しました。
このアイデアは、$BTCや$LTC、$DOGEなどを保有する大きな機関投資家からも反響を得ており、Justinは彼らが保有する資産をSolanaのDeFiで活用できる可能性が開かれるためだとSolana Foundationのインタビューで述べています。
ビットコインレイヤー2の開発が活発化する中、独自のチェーンを構築するのではなく、既存のブロックチェーンの長所を活かした相互運用性の実現を目指すプロジェクトが登場しました。それがZNです。
出典:https://x.com/ZeusNetworkHQ/status/1843616616388669526
ZNが誕生した背景には、非プログラマブルなチェーン(スマートコントラクトを実行できず、主に価値の送受信機能のみを持つチェーン)の巨大な流動性を活用する可能性にあります。
その代表例として、$BTCが挙げられます。$BTCの時価総額の1%(約128億ドル)でもSolanaの現在のDeFi TVLの2.5倍以上に相当することが挙げられます。これは$BTCに限らず、$LTCや$DOGEなど、他の非プログラマブルなチェーンの未活用の流動性をSolanaのDeFiエコシステムで活用できる大きな可能性を示唆していると言えます。 (※$BTC時価総額は1$BTC=約63,000ドル時点)
この潜在的な機会を実現するため、ZNはBitcoinを含む様々なチェーンのアセットをプログラマブルにし、最も活発に利用されているチェーンの一つであるSolana上でその流動性を解放することを目指しています。
出典:https://docs.zeusnetwork.xyz/learn-more/backers
ZNは、Solanaエコシステムの強化に向けたビジョンが評価され、800万ドル以上の資金調達に成功しています。Mechanism Capital、OKX Ventures、UTXO Managementを含む13の主要なVC企業からの出資に加え、Solanaの共同創設者Anatoly Yakovenko氏やStacksの共同クリエイターMuneeb Ali氏など、業界を代表する個人投資家からも支援を受けています。
出典:https://zeusnetwork.notion.site/APOLLO-Brand-Kit-13ecc3db308480db8589fc7191694a8d
ZNはSolana上に様々なチェーンのアセットをオンボードすることを目的としたプロジェクトです。その目的の基盤となるのがZeusLayerです。
ZeusLayerは、クロスチェーンアセットの窓口として機能し、異なるチェーンのアセットを安全にラップし、ブリッジします。
アセットを元のチェーンにロックした後に、ブリッジ先のチェーンに対応したトークンを発行するフローは、$cbBTCや$WBTCなどのラップBTCによって採用されています。しかしZNでは、Bitcoinチェーン上での$BTCのロック、Solana上での$zBTC発行フローの承認プロセスにおいて、ZeusLayerを採用する事でセキュリティ維持と分散性を維持している事が特徴です。
この発行フローに関しては次のZeusLayerのセクションで詳しく説明します。
ZeusLayerの安全性と分散性を確保するのがZeusNodeです。ZeusLayerを通じて行われるアセットのブリッジは、ZeusScanと呼ばれる専用のエクスプローラーで監視・確認することができます。
異なるチェーンからブリッジされたアセットは、Solana専用にZNが開発した専用規格「ZPL」によってSolana上に発行されます。ZNは最初のターゲットとして、巨額の時価総額を誇る$BTCに着目し、ZPLを活用してSolana上に$zBTCを発行します。
この$zBTCを活用するのが、ZN初のdAppであるApolloです。ApolloはZeusLayerのインフラを活用して構築された、Solana上で初の$zBTC活用DeFiプラットフォームです。こちらもレポート後半で詳しく説明します。
このように、ZNはZeusLayerを基盤として、クロスチェーンアセットのDeFi活用を可能にする新しいエコシステムを構築しています。
出典:https://x.com/ApolloByZeus/status/1841417196192325802
上記の図解はZeusLayerを介して$BTCをどのようにSolana上で利用可能なトークン$zBTCにブリッジするかを示したものです。主なフローのステップは以下となっています。
①ユーザーは$BTCをBitcoin上に預け入れる
②ZeusNodeオペレーターが$BTCのロックを提案
③ZeusNodeガーディアンがロック提案を承認し署名
④$BTCをBitcoin上のコールドリザーブにロック
⑤Solana上に$zBTCが新しく発行される
⑥ユーザーは$zBTCの金庫からClaimし$zBTCを受け取る
ZeusLayerは、BitcoinとSolana間のアセットブリッジを可能にするZNのコアインフラとして、Solanaのレイヤー1.5に位置づけられています。ユーザーが預け入れた$BTCは、Bitcoin上のHotリザーブで受け付けられ、承認プロセスを経てColdリザーブにロックされます。このロックを基に、Solana上で$zBTCがミントされ、ユーザーはSolana上で$zBTCを受け取ることが可能になります。
この一連のプロセスを支えるのが、ZPLとZeusNodeという2つの重要な要素です。ZPLはSolana上でのアセット変換と管理を担い、ZeusNodeはオペレーターとガーディアンによって安全性と分散性を確保します。このように、ZeusLayerは複数のオペレーターとガーディアンによって運営される、安全で分散化されたクロスチェーンインフラストラクチャとして機能しています。
ZPL(Zeus Program Library)は、異なるブロックチェーン間の相互運用性を実現するために、Zeus Networkによって開発されたSolana上のトークン規格です。ZPLに変換されたアセットは、NFTマーケットプレイス、GameFi、DeFi、DePINなど、Solanaエコシステム内の様々なサービスで活用することができます。
ZPLは10個の主要プログラムを備えたライブラリ(開発に必要な機能をまとめた部品集)で、その中核となる機能は以下の3つです。
また、ZPLはSolana上に構築された開発フレームワークとなっており、以下の重要な機能を備えています。
この技術により、開発者はZeusNetwork上でクロスチェーンアプリケーションを構築することが可能になり、例えば$BTCを$zBTCとしてSolana上で表現するような機能を実装できます。その他にもBitcoin上のRunesやOrdinalなどといったあらゆるトークンに対応することが可能となっています。
Runes: Bitcoinのネイティブトークンプロトコルで、効率的なトークン作成と移転を可能にする仕組み。2024年4月の半減期と共にリリース。
Ordinals: Bitcoinの各サトシに独自のデータを刻印できる仕組み。デジタルアセットやNFTをビットコインネイティブで作成可能にした2023年のプロトコル。
出典:https://solana.com/solutions/token-extensions
ZPLはSPLトークン拡張機能をベースに構築されている為、Solanaのエコシステムとの互換性も確保しています。SPLトークン拡張機能は、Solana上のトークンに高度な機能を追加できる新しいプログラム規格です。これにより、トークンのプログラマブル性が向上し、機密性の管理やメタデータへのアクセス制御など、より複雑な機能を実装することが可能になります。
ZeusNodeは、ZeusLayerのセキュリティと分散性を支える重要な役割を担います。ZeusNodeはZeusNodeオペレーターとZeusNodeガーディアンの2つの役割によって運営され、ZNにおけるクロスチェーンアセットブリッジの安全性を維持します。上記の図解は、それぞれの役割がどのように機能しているかを表しています。
ZeusNodeオペレーター
ZeusNodeオペレーターは、ZeusNodeガーディアンに対するトランザクションの提案、取引の監視など、主にZeusLayer全体を管理する役割を持っています。
ZeusNodeガーディアン
ZeusNodeガーディアンは、ZeusLayerのセキュリティと安全性を維持し、不正がないように検証する役目を持っており、ZeusNodeオペレーターの指示によって機能します。
ZeusNodeガーディアンは、ユーザーや機関からのZN独自トークン$ZEUSのデリゲートによってネットワークのセキュリティを確保し、$BTCをSolanaへ安全かつパーミッションレスにオンボードする事を可能にします。
すべての$ZEUS保有者は保有残高に関係なく、ガーディアンへのデリゲートによってデリゲーターになることができ、ネットワークの安全性維持に貢献できます。
ZeusNodeガーディアンには、異なる規模の参加者に対応するため、2種類のガーディアンプログラムが提供されており、以下の参加条件などのプログラムの特徴を持ちます。
項目 | ガーディアン | インスティテューショナルガーディアン |
---|---|---|
必要な$ZEUS | 最低500,000 $ZEUS | 最低5,000,000 $ZEUS |
必要な$BTC | 任意 | 最低500$BTC |
最大キャパシティ | 5,000,000 $ZEUS /$BTC制限なし | 5,000,000 $ZEUS /$BTC制限なし |
$ZEUSロックアップ期間 | 180日 | 180日 |
$ZEUSデリゲーション | 一般に公開 | 非公開 |
ガーディアン
インスティテューショナルガーディアン
これら2種類のガーディアンが連携することで、ZeusNodeのセキュリティとスケーラビリティを確保し、Solanaへの大規模な$BTC流入を安全に処理する体制を構築しています。
従来のラップBTCはマルチシグ(複数の署名者による承認)を採用していましたが、このマルチシグ方式では各署名者が自身の完全な秘密鍵を保持するため、個々の鍵が危殆化するリスクが存在していました。
これに対してZeusNodeは、より高度なセキュリティを実現するためにMPC(マルチパーティ計算)技術を採用しています。MPCの特徴は、秘密鍵を複数のシャードに分割し、異なる関係者に分散させることで、誰も完全な秘密鍵にアクセスできない仕組みを実現している点です。
例えば、ユーザーが$BTCを預入れる際、これらの分散された鍵のシャードが協調して取引署名を行いますが、秘密鍵が一箇所に集まることはありません。
このアプローチにより
が可能となり、これがZeus Networkを他のプロジェクトと差別化する重要な技術的特徴となっています。
出典:https://x.com/ZeusNetworkHQ/status/1864976792140026318
Zeusエポック (約35日間) | エポック1 | エポック2-3 | エポック4-5 | エポック6-7 |
---|---|---|---|---|
マイルストーン | セキュリティ | |||
基盤構築 | ネットワークキャパシティ拡大 | ネットワークキャパシティ最大化 | UTXOおよび | |
xyZBTC統合 | ||||
タイムライン | 実施中 | 2025年第1四半期 | 2025年第1・2四半期 | 2025年第2四 |
半期 | ||||
ガーディアン起動数 | 1 | 4 | 10 | 未定 |
ガーディアンキャパシティ | 25 $BTC / | |||
500,000 | ||||
$ZEUS | 100 $BTC / | |||
2,000,000 $ZEUS | 未定 | |||
インスティテューショナルガーディアン起動数 | 0 | 2 | 4 | 未定 |
インスティテューショナルガーディアンキャパシティ | 0 | 1,000 $BTC/最大 | ||
10,000,000 $ZEUS | 2,000 $BTC/最大 | |||
20,000,000 $ZEUS | 未定 |
セキュリティ強化のため、ZeusNodeは段階的なエポック制を採用しています。デリゲートには段階的なキャパシティモデルを採用しており、その中核となるのが$ZEUS-$BTCのダイナミックレシオです。 ※ダイナミックレシオとは、デリゲートされた$ZEUSの量に応じて、取り扱い可能な$BTCの量が動的に変化する比率システム
エポック1では、初期比率を20,000:1($ZEUS:$BTC)に設定し、ガーディアンを1つ、ユーザー向けに開放し、500,000 $ZEUSのデリゲート枠を設けました。この枠はわずか17分で完売され、83のデリゲートポジションが最大40%のAPYを獲得できる体制が整いました。また、デリゲーションが500万$ZEUSに達すると、この比率は市場需要に応じて動的に調整され、無制限の$BTC流入が可能となります。
今後のエポック2・3では、デリゲート上限を1,200万$ZEUSまで拡大し、1,100$BTC以上のSolanaへの導入を目指しています。このように、ガーディアンへの$ZEUSのデリゲートを通じて、より多くの$BTCをSolanaへ安全にオンボードすることを実現していきます。
https://x.com/ZeusNetworkHQ/status/1864248371005018439
現在、最初のインスティテューショナルガーディアンとして、Zeus Foundation、Mechanism Capital、Animoca Ventures、UTXO Management、Karatage、Axia8 Ventures、Sec3の7団体が参加する予定となっていることが発表されていますが、今後エポック2-3にて2つのインスティテューショナルガーディアンが起動予定となっています。
出典:https://medium.com/@zeusnetworkjapan/zeusnode-bitcoin-solana-の相互作用を確立するノード-4e17574b069d
ZeusScanは、BitcoinとSolana間のクロスチェーントランザクションを監視・追跡できる専用のエクスプローラーです。ユーザーはBTCの預入からzBTCのミント、さらにはバーンから引出しまでの全プロセスをリアルタイムで確認することができます。
ZeusScanの役割は、ZeusNodeの稼働状況やガーディアンの活動状況など、ネットワークの健全性を示す重要な指標を提供することです。これにより、ユーザーはネットワークの状態や自身の取引の進行状況を常時確認できます。
さらに、全てのクロスチェーン取引を透明性高く可視化することで、Zeus Networkのセキュリティと信頼性を支える重要なインフラストラクチャとして機能しています。クロスチェーン取引の安全性を確保するため、取引の各ステップにおける検証状態も確認することができます。
ZeusScan:https://zeusscan.io/
出典:https://docs.zeusnetwork.xyz/usdzeus-tokenomics/token-distribution
ティッカー | ZEUS |
---|---|
チェーン | Solana |
コントラクトアドレス | ZEUS1aR7aX8DFFJf5QjWj2ftDDdNTroMNGo8YoQm3Gq |
発行日 | 2024/4/4 |
総発行枚数 | 10億枚 |
初期発行枚数 | 1.675億枚(16.75%) |
トークン分配 | エコシステムとコミュニティ成長:40% |
ファウンデーションリザーブ:20% | |
チーム:15% | |
アーリーバッカー:10% | |
アドバイザー:5% | |
流動性:5% | |
Jupiterローンチパッド:5% |
$ZEUSはZeus Networkの独自トークンとなっており、2024年4月4日に発行されています。最大供給量は10億枚で、そのうち初期流通量は16.75%(167,500,000トークン)となっています。分配については、エコシステムとコミュニティの成長に最大の40%が割り当てられ、次いでファウンデーションリザーブに20%が配分されています。
$ZEUSの主なユーティリティは、ZeusNodeへのデリゲートによるZeusLayerの安全なセキュリティ構築することです。このため、$ZEUSは安全なアセット活用のための堅牢でスケーラブルなフレームワークを確立するレイヤートークンとして設計されています。
$ZEUSのユーティリティは3つのチャプターで段階的に展開され、各チャプターで機能の更新と共に短期的な目標が設定されています。
このように、$ZEUSは段階的な発展を通じて、最終的に$BTCを含む様々なUTXOベースのアセットをSolanaエコシステムに統合する重要な役割を果たします。各チャプターでの機能拡張により、クロスチェーンの相互運用性とDeFiの可能性を広げていく設計となっています。
出典:https://coinmarketcap.com/currencies/zeus-network/
$ZEUSは2024年4月にTGEが行われてから、徐々に下落を続けていることがわかります。要因としては、暗号通貨全体の過疎化や$BTC価格の停滞、$ZEUSの明確な使い道がなかったことが要因の一つと考えられます。 しかし、画像の青枠部分に大きく価格が上昇していることがわかります。これは11月5日にアメリカのトランプ氏が大統領に当選したことをきっかけに、暗号通貨市場全体の価格が上昇しました。この影響で$ZEUSも大きく上昇したと考えられます。
ピンク丸の箇所に関しては、ZeusNodeへのデリゲートエポック1が12月5日から開始されており、その付近を天井として徐々に$ZEUSの価格が下降していることがわかります。
画像内の赤矢印の上昇は、11月23日の$ZEUSのトークノミクスがアナウンスされたこと、および$BTC 1:20,000 $ZEUSの初期比率で $ZEUS 保有者からのデリゲートを受け入れることがアナウンスされたことによる期待買いが要因の一つと考えられます。
APOLLOは、ZNが開発するSolana上のdappとなっており、BitcoinとSolana間のクロスチェーン流動性を実現します。具体的には、ZeusLayerの仕組みとZPLを活用して$BTCを$zBTCとしてSolana上で発行し、ユーザー及び$BTC保有者がSolanaのDeFiエコシステムに参加できる環境を提供します。
出典:https://x.com/ApolloByZeus/status/1841417196192325802
Apolloは$BTC保有者にSolana上での資産活用の機会を提供する2つの中核機能を備えています。
$zBTC発行・バーン
$zBTCイールド運用
これらの機能により、$BTC保有者はBitcoinの安全性を維持しながら、Solana上での新たな収益機会を得ることが可能となります。
出典:https://x.com/ApolloByZeus/status/1859993262314188944
Apolloにおいて、軸となるアセットが$zBTCです。$zBTCはZNがSolana上で$BTCを活用可能にするために開発されたSolana上のトークンです。$BTC保有者はBitcoinチェーンから$BTCを移動することなく、Bitcoinチェーン上にロックすることでSolana上で運用可能な$zBTCを発行することができます。
トランスペアレント(透明性)
トラストレス(信頼不要)
オンチェーンイールド
上記の主な特徴により、$BTCの価値をSolana上で活用することが可能となり、$BTCを安全にBitcoin上にロックしたまま$zBTCをSolana上のDeFiで運用する事で、追加のイールド利益を獲得することができます。
また、$zBTCのイールド運用に関してユーザーは、Apollo管理で$zBTCの運用を行うカストディアル形式、または自身でSolana上で運用可能なノンカストディアル形式の2つが存在しており、ユーザーの好みの戦略でイールド運用することが可能となります。
$BTCをロックして$zBTCを発行するフローに関しては、レポート冒頭で記載した$BTC入金と$zBTC発行のフローを参照ください。$zBTCはZPLの2-Way Pegプログラムにより、$BTCと$zBTCの安全な変換と1:1の数量関係が保証されています。
2-Way Pegは、$BTCと$zBTCの1:1の数量関係を維持しながら、BitcoinとSolana間の安全なアセットブリッジを実現するプログラムです。このプログラムは以下の2つのモジュールで構成されており、ZPLに組み込まれたプログラムとなっています。
この2つのモジュールにより、Bitcoin上の$BTC入金からSolana上の$zBTCバーンまで、全ての取引プロセスを安全に管理します。また、プロセスの不正を防ぐため、ZeusLayer内ではステーキングとスラッシングの仕組みも採用しています。
スラッシングの仕組みとは、ZeusNodeガーディアンが$ZEUSをデポジットすることで、ZeusLayerのネットワークの安全性を担保しますが、もしガーディアンの不正行為が検出された場合、そのステーキング額がスラッシング(没収)されることで、システムの信頼性を維持しています。
出典:https://x.com/ZeusNetworkJP/status/1850870639131046360
これまでSolana上のラップ$BTCトークンとして、中央集権取引所のKrakenやCoinbaseが発行する$kBTCや$cbBTCが存在してきました。しかし、これらのトークンは中央集権的な管理に依存し、発行にはKYC認証が必要などの制限がありました。
これに対し$zBTCは、パーミッションレスで完全分散型のトークン発行を実現した最初のソリューションです。ZeusNode及びZeusLayerによる分散型管理とオンチェーン検証により、より安全で透明性の高い$BTCのクロスチェーン活用を可能にしています。
出典:https://muses.apollobyzeus.app/
2024年Q4(フェーズ1) メインネット立ち上げ | $BTCと$zBTCの相互運用性の実現, $zBTCの安定性強化 |
2025年Q1(フェーズ2) メインネットアップグレード | カストディアル/ノンカストディアル機能の導入, Solana上での$zBTCのイールド獲得機能の開始, APOLLOポイントシステムのローンチ |
Apolloは現在ファイナルテストネットの段階となっており、2024年Q4にメインネットの立ち上げと、2025年Q1には$zBTCを活用しSolana上でイールド報酬を獲得できる機能が開始する予定となっています。
現在のテストネットは、テストネット上の$tBTCを$zBTCに変換することが可能です。具体的には以下のような機能をテストすることが可能となっています。
テストネットを触る際は、テストネット専用ウォレットのMuses Walletが必要となります。
出典:https://chromewebstore.google.com/detail/muses-wallet-for-apollo-t/eidehbdehdaggoophgjhkplcbjhelfkc
Muses WalletはZNのApollo専用のテストネットウォレットです。APOLLOテストネットへの接続、テスト用$tBTCの請求、入出金が可能で、$BTCから$zBTCへの変換機能をテストするために設計されています。
重要な注意点として、このウォレットはテスト用であり、実際のBitcoinを送金すると資産が失われる可能性があるので、注意が必要です。
2024/12/11時点 | $WBTC(Ethereum) | $cbBTC(Ethereum) | $WBTC(Solana) | $cbBTC(Solana) |
---|---|---|---|---|
発行枚数(1BTC=100,435ドル) | 136,259枚 | 20,112枚 | 3,062枚 | 650枚 |
ホルダー数 | 104,439 | 6,435 | 24,000 | 6,038 |
時価総額 | 約136億ドル | 約20億ドル | 約3億ドル | 約6,500万ドル |
上記の表は、現在Ethereum とSolana 上で発行されている主要ラップ$BTCの枚数やホルダー数を示したものです。$WBTCと$cbBTCは共に1:1の裏付け資産となるため、発行枚数は常に変動します。
現在Solana上のラップ$BTCトークンとして発行されている$WBTCや$cbBTCの枚数は、Ethereum上の$WBTCや$cbBTCの発行枚数を大きく下回っています。また、現在Ethereum とSolana に発行されている主要ラップ$BTCの時価総額を合計しても約161.1億ドルにすぎず、これは現在の$BTC時価総額約1.9兆ドルの約0.85%に相当しています。
出典:https://dune.com/cbinstitutional_team/cbbtc
上記のグラフは、$cbBTCの時価総額と発行量の推移を示しています。2024年12月10日時点で、cbBTCの時価総額は約20億ドル、発行量は約21,000枚となっています。時価総額と発行量の推移は連動しており、発行量の増加に伴って時価総額も上昇していることがわかります。
WBTC の供給量は2018年11月から徐々に増加し続けていましたが、2020年4月以降大きく上昇しています。特に2022年4月には約23万枚の$WBTCが発行されたことが確認できます。その後の供給量は横ばいとなっています。一方、$WBTC の時価総額は供給量の増加に伴って増加し続けており、グラフから読み取ると2023年6月時点で約150億ドルほどに達していることがわかります。
項目※2024年12月11日時点 | Ethereum | Solana |
---|---|---|
プロトコル数 | 1246 | 187 |
TVL(USD) | 77.8b | 9.4b |
イールド対応主要プロトコル | Aave, Uniswap, Curve Finance, Compound, Morpho, Balancer, Corn, Kernels, Pendle | Jito, Kamino, Drift, marginfi, Save, Meteora, Orca |
これまで$BTCは主に保有または送金のみが可能で、DeFiでの運用は限定的でした。既存の$WBTCなどの初期のソリューションも、中央集権的なリスクや制限がありました。しかし、ZNの提供する$zBTCのようなソリューションは、BTC保有者、特に個人投資家に対して、より安全で分散的なDeFi活用の新たな道を切り開く可能性を秘めていると考えられます。
これは、従来の$wBTCや$cbBTCなどの既存のラップトークンの課題を改善し、暗号資産エコシステムにおける$BTCの実用性を大幅に拡大する潜在力を持っています。
上記の表はEthereumとSolanaのプロトコル数、TVL(Total Value Locked)、ラップBTCのイールド対応をする主要プロトコルを比較したものです。プロトコル数やTVLは圧倒的にEthereumの数が多く、現状ではSolanaよりもEthereumの方が、ラップBTCでイールド利益を上げる環境が整っていることがわかります。
現在Solana上にラップBTCを発行する主なトークンとして$cbBTCが存在していますが、Ethereumのラップ$BTCの発行量と比較して流動性は少ないのが現状です。(ラップ$BTCの流動性比較表参照)
しかし、SolanaはL1チェーンとしてEthereumにはない高速なトランザクション処理能力を持ち合わせており、これはDeFiを行う上でユーザーにとって大きなメリットとなります。
ZNの提供する$zBTCがユーザーに対して、より安全で自由度の高いSolanaへのブリッジを実現すると同時に、Solana上に$zBTC対応のDeFiプロトコルが増加していけば、Solana上に$BTCの流動性が拡大され、SolanaのTVLが大幅に増加する可能性が考えられます。
出典:https://dune.com/21co/bitcoin-key-metrics
2023/2/13 | 2024/4/1 | 2024/11/27 | |
---|---|---|---|
Ordinal手数料(USD) | 68.6k | 360.1k | 107.9k |
Ordinal以外の手数料(USD) | 457.9k | 1.5m | 834.7k |
Ordinal手数料割合 | 13% | 18.9% | 11.4% |
ZNの特徴として、$BTCだけでなく、OrdinalsやRuneなどのCT(コレクティブルトークン)もSolanaへの移行が予定されています。これにより、純粋な$BTC投資家に加えて、Bitcoin上のCT保有者にもSolanaのエコシステムへのアクセスを提供することができます。
上記のグラフと表が示すように、Bitcoin上の取引手数料の約10%以上がOrdinalsの手数料となっています。このデータから、Bitcoin上で一定規模のCT市場が形成され、活発な取引が行われていることが分かります。
しかし、Bitcoin上での取引は高額な手数料が課題となっています。OrdinalsをSolana上にシームレスに移行できれば、より低コストでの取引が可能となり、さらにOrdinalsを担保とした様々なDeFi活動もSolana上で実現できると考えられます。
近年、価値のあるNFTなどのCTを担保にしてFT(Fungible token)を借り入れるなど、CTを活用したNFTFiプロトコルが台頭しています。OrdinalsのようなBitcoin上のCTをSolanaに移行することで、より幅広い投資家の資産活用の可能性を広げることができ、ZNは新たな資産運用のフロンティアを開拓する可能性があると考えられます。
出典:https://www.binance.com/sv/research/analysis/spot-etfs-in-crypto-markets
上記のグラフは、Binance Researchの公開する「仮想通貨市場のスポットETFについて」のレポートから抜粋した2012年から2024年までの$BTCスポット取引量の累積推移を表したものです。
Binance Researchのデータによれば、2024年の取引量は3,287(単位:億ドル)と過去最高を記録し、年々$BTCの取引量は増加傾向にあることがわかります。この取引量の増加は、ETFの導入や市場の成熟化による影響の可能性が考えられます。
出典:https://www.binance.com/sv/research/analysis/spot-etfs-in-crypto-markets
2024年の$BTC現物取引におけるETF割合のデータによると、ETFは平均26.4%(ピーク時62.6%)の取引量を占めており、新たなユーザー層が暗号通貨市場に参入していることがわかります。上記のデータからも、ZNの$BTC発行枚数の1%をSolanaにオンボードするという目標を掲げるに相応しい市場であると言えます。
しかし、ETFで参入したユーザーと既存$BTC保有ユーザーは異なる層である可能性があります。ETF投資家は、大手証券会社会社を通じて$BTCを購入していることから、より保守的で、$BTCそのものの価値に注目する傾向があると考えられます。
$BTC市場の取引量増加を踏まえると、ZNが提供する$zBTCを活用した新しい$BTCのDeFi運用の形は、現状の$BTC市場にとって良いアプローチであると言えます。しかし、同時に現状のETF購入ユーザーは大手証券会社を通じて$BTCスポットETFを金融商品として購入しており、DeFiでの運用利益よりも、$BTCの本質的価値に共感している投資家である可能性が考えられます。
そのため、ZNのプロトコルコンセプトである、$BTC発行数の1%をSolana上に安全にブリッジし、ユーザーのさらなる収益機会を構築するアプローチは、ETFで参入したユーザーよりも、一定の暗号資産知識を持つ既存$BTC個人投資家がメインターゲットになると筆者は考えています。
出典: https://coinmarketcap.com/currencies/kaspa/ https://coinmarketcap.com/currencies/litecoin/ https://coinmarketcap.com/currencies/dogecoin/
ZNが将来的にSolanaにオンボードしようとしているUTXOベースのトークン(スマートコントラクトの実行機能を持たないシンプルな構造のブロックチェーンの資産)として、$KAS、$LTC、$DOGEが挙げられています。これらのトークンは主に以下のような特徴を持ちます。
これらは主に決済や送金といったシンプルな用途で使用されており、スマートコントラクトを活用したDeFiのような複雑な運用を目的として設計された暗号資産ではありません。しかし、どのトークンも一定の時価総額と価格を保っていることから、DeFi運用目的ではないユーザーからの支持が存在していると考えられます。
2024年12月12日時点 | $KAS | $LTC | $DOGE | $BTC |
---|---|---|---|---|
時価総額(USD) | 約$4.1 B | 約8.97 B | 約59.8 B | 約1.98 T |
時価総額ランキング | 40 | 22 | 7 | 1 |
主な特徴 | 支払い通貨 | 支払い通貨 | コミュニティ通貨 | 投資通貨 |
トークン価格や時価総額の上下はあるものの、これらのトークンには一定の需要が継続的に存在していることがわかります。$KASや$LTCは決済としての利用がメインとなっているにもかかわらず、時価総額ランクは比較的上位を維持しています。
また、ミームコインとして知られる$DOGEは、チップ支払いや寄付での利用以上に、Dogecoinコミュニティの象徴としての価値を持つトークンとなっており、時価総額ランクも7位と暗号通貨市場の中でもトップの時価総額を誇っていることがわかります。
$BTCをはじめとする、まだDeFiでの活用が限定的なこれらのトークンをZNの技術を活用して、安全かつシームレスにSolana上にオンボードすることができれば、これまで分散していた各チェーンの資産を、Solana上で統合的に運用することが可能となります。これにより、ユーザーにとってユーザビリティの高いクロスチェーンエコシステムが実現とDeFiにおける幅広いイールド運用機会がさらに開かれる可能性があると考えられます。
出典:https://solana.com/branding
上記で紹介したUTXOトークンは送金などのシンプルな取引に、Ordinalsは高額な取引手数料が課題となり、それぞれの活用に制限がありました。しかし、その時価総額や取引ボリュームは比較的大きな規模を示しています。
これらの巨額な時価総額を持つアセットがSolana上で取引可能になり、取引手数料の大幅な軽減や新しい収益機会が実現すれば、ZNは未活用アセット解放のパイオニアとなる可能性が高いと考えられます。
現状、幅広いアセットをターゲットにしてSolanaとの相互運用性を実現しようとしているプロジェクトは、ZNが先駆けであり、類似する競合プロジェクトは存在していません。巨額な時価総額を持つ未活用アセットをSolana上に安全に解放することができれば、ZNは新しい暗号資産市場のインフラのパイオニアとして確立される可能性があると筆者は考えています。
これまでL1やL2のチェーンが乱立する中で、ZNのようにSolanaチェーン上に休眠している他チェーンのアセットの流動性を開放するプロジェクトは、暗号資産エコシステム全体にとって大きな可能性を秘めていると筆者は考えます。
特に、MPCを採用した安全性の高いブリッジ技術と、パーミッションレスな分散型の仕組みは、従来の中央集権的なラップトークンの課題を解決する革新的なアプローチだと言えます。しかし、クロスチェーンブリッジのインフラとして確立するためには、$zBTCに対応するDeFiプロトコルの継続的な拡充が不可欠です。
また、ETF導入により新たに参入した投資家層よりも、既存の暗号資産ユーザーをメインターゲットとすることで、より実用的な価値を提供できる可能性があります。ZNの成功は、Solanaエコシステムの発展だけでなく、ブロックチェーン間の相互運用性を高め、より効率的な暗号資産市場の形成に貢献するものと期待されるのではないかと感じました。
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・筆者は、本文中で触れている暗号資産を保有している可能性があります。こちらのレポートに書かれている見解は、筆者の個人的なもので、情報提供のみを目的としています。トークンの売買やプロトコルの利用を推奨するものではありません。また、本レポートは投資アドバイスではないことをご留意ください。
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