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Plasmaチェーン概要と解説:ステーブルコイン特化型チェーンの戦略考察

投稿日 2025年 05月 01日

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目次

はじめに


暗号資産市場は2009年のBitcoin誕生以来、急速な進化を遂げてきましたが、ステーブルコインの登場および流通はブロックチェーンの最も重要なユースケースの一つとなっています。

投機的な暗号資産の変動性を回避しつつ、送金や貯蓄などの手段として、ブロックチェーン技術の利点を活用したいユーザーにとって重要なツールとなっています。

現在、ステーブルコイン市場は2250億ドル以上の供給量を持ち、毎月数兆ドルが取引される巨大市場に成長しています。

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データ:DeFiLlama

しかし、ステーブルコインの普及に伴い、既存のブロックチェーンインフラの限界も明らかになってきました。

EthereumやTronなど、現在ステーブルコインの大部分が展開されているチェーンは、ステーブルコインの存在前に設計されたものであり、高い手数料、遅いトランザクション確定時間、中央集権化などの課題を抱えています。

これらの課題は、特に少額送金や日常的な決済など、ステーブルコインの主要なユースケースにおいて大きな障壁となっています。

このような背景の中、Plasmaは「ステーブルコインのために特別に設計されたチェーン」として登場しました。

Plasmaは、Bitcoinのセキュリティを基盤(将来的な実装)としながら、Ethereumの実行環境の柔軟性を兼ね備え、ステーブルコイン特有のニーズに対応する専用機能を提供することを目指しています。

特に注目すべきは、Plasmaがゼロ手数料USDT送金を実現し、ステーブルコイン採用の大きな障壁の一つである取引コストの問題に対処している点です。

本レポートでは、Plasmaの技術設計、独自機能、ユースケース、市場ポジション、そして投資家にとっての考慮事項を詳細に分析します。

本レポートを通じて、Plasmaの革新性と市場における位置づけを理解し、その潜在的な影響を評価する一助となれば幸いです。

Plasmaプロダクト概要


Plasma基本情報と概要


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引用:https://www.plasma.to/about
項目概要
ローンチ未ローンチ
創業者Paul Faecks氏, Christian Angermayer氏
公式ウェブサイトhttps://www.plasma.to/
公式Xhttps://x.com/PlasmaFDN

Plasmaは、ステーブルコイン決済に特化して設計された高性能でスケーラブルなブロックチェーンです。「Redefining how money moves」(お金の移動方法を再定義する)というスローガンの下、Plasmaはステーブルコインの独自のニーズに応えるために一から構築されました。

従来のチェーンがステーブルコインの存在や普及前に設計されたのに対し、Plasmaはステーブルコインを中心に据えた設計思想を持っています。技術的には、PlasmaはBitcoinのセキュリティを基盤としたサイドチェーンであり、Ethereumの実行環境の柔軟性を兼ね備えています。この独自の設計により、高スループット(毎秒数千トランザクション)、低レイテンシー、そしてステーブルコイン特有の機能を提供することが可能になりました。

Plasmaの最も革新的な側面の一つは、Bitcoinの堅牢で信頼性の高いネットワークを基盤としながら、ステーブルコイン取引に最適化された環境を提供する点にあります。これにより、ユーザーは比類のない信頼性と実証済みのセキュリティを持つ基盤の上で、ステーブルコインを取引することができます。

開発チームと資金調達状況


日付ラウンド金額リード投資家
2025/02-$24MFramework Ventures, Bitfinex/USD₮0
2024/10-$3.5MBitfinex

データ:Rootdata

Plasmaは、Paul Faecks氏とChristian Angermayer氏によって創設されました。開発チームは、AppleやMicrosoftでのソフトウェアエンジニアリング、Goldman Sachsでの高頻度取引、Imperial College LondonとLos Alamos National Labでの分散システム研究、そして最大級のステーブルコインとブロックチェーンの構築における実践的な経験を持つ専門家で構成されています。

2025年2月、Plasmaは2400万ドルの資金調達を発表しました。

この資金調達はシードラウンドとシリーズAにまたがり、FrameworkとBitfinex/USD₮0が主導しました。その他の参加者にも、ステーブルコインと決済業界のグローバルリーダーが名を連ねています。

さらに、業界をリードするエンジェル投資家とアドバイザーとして、Paolo Ardoino(Bitfinex CTO)、Peter Thiel、Cobie、Zaheer Ebtikarが参加しています。

この資金調達は単なる財務的なマイルストーンではなく、ステーブルコインを活用したより利便性の高い決済に明確な需要があることの表れでもあります。

ビジョンとミッション


Plasmaのビジョンは、ステーブルコインの完全な可能性を解き放ち、グローバルな金融システムを変革することです。そのミッションは、ステーブルコインのために特別に設計された、スケーラブルで効率的、そして安全な基盤を提供することにあります。

Plasmaは、ステーブルコインの利回り生成とグローバル決済の市場を獲得することに主眼を置いています。ステーブルコインのために一から最適化されたチェーンを構築することで、一般的なチェーンに存在する課題に対処し、これらのユースケースを強化するプラットフォームを提供することを目指しています。

特に、Plasmaは世界最大のステーブルコインであるUSD₮(テザー発行)から始めて、数兆ドル規模のステーブルコイン市場を獲得する独自のポジションを確立しています。USD₮は世界中で約70%の市場シェアを持ち、1400億ドル以上の供給量があります。BitfinexとUSD₮0の支援を受け、Plasmaはゼロ手数料のUSD₮送金を可能にし、ステーブルコインの送金決済に最適化されたインフラを構築しています。

Plasmaの長期的なビジョンは、技術的課題の解決だけでなく、ステーブルコイン発行者、オンランプ提供者、流動性提供者、Banking-as-a-Serviceプラットフォーム、DeFiアプリケーション、フィンテック、その他の金融機関との深い統合を実現することです。Plasmaのチームは、これが暗号資産業界だけでなく、世界で最も重要な機会の一つであると考え、今後10年にわたってこの焦点を追求することを約束しています。

Plasma 技術設計


Plasmaの設計は、高速で現代的なコンセンサスとEthereumの実証済み実行環境を組み合わせ、すべてをBitcoinのセキュリティの上に構築するという独自のアプローチを取っています。

  • Plasma BFT
  • Reth(EVM実行環境)
  • Bitcoinブリッジ

迅速なファイナリティを持つEVM環境は、多様な条件が全て自動化される決済や国際送金などのシナリオで、大幅なコスト削減および市場の開拓余地があります。

Bitcoinのブリッジは現在研究開発中となっていますが、Plasma状態のアンカリングによってもたらされる明確なベネフィットは現時点では未知数です。

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