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投稿日 2025年 01月 02日
目次
本レポートでは、筆者(@CryptoTimesRes1)が予想する2025年の注目するテーマ・ナラティブを紹介致します。
昨年もCT Analysisとして、私個人ではNFT以外のパートの2024年の業界予想をさせていただきました。24年を振り返るいい機会になるかと思いますので、以下も読み物程度にぜひともご覧ください。
CT Analysis リサーチャーが2024年に注目するテーマと動向予想
また、筆者はクリプトにおけるすべての領域をカバーしているわけではないので、一部テーマの抜け漏れなどがあると思いますが、こちらに関してはあらかじめご了承いただけると幸いです。
2024年はBTCにとって歴史に残る記録的な年となりました。
現在、Bitcoin ETFでは140万BTC以上を保有、ETF市場の1%を上回る市場占有率に到達し、US市場における影響力を着実に高めています。
24年の半減期以降、産出されるBitcoinに対して、ETFの流入が超過していることから、このペースが続くことで、継続的な価格上昇も期待できます。
一方で、米国先物CMEでアグレッシブなポジションが大統領選以後積まれていること、1月20日の就任式以降、政策の展開までにタイムラグがあることを考慮すると、トランプ氏の政策が実際のフローに影響を及ぼすまでは、投機的な動きに警戒する必要があるのではないかと考えています。
Ethereumは10月以降、ETFへの流入が加速しましたが、現状ではETF転換前のGrayscaleのETHEの流出と相殺される形となっていました。
Dune.com(@hildobby)
Bitcoinのケースでは、Grayscaleの流出が小さくなったタイミングで、ETFの流入が加速したことで、これがサプライの吸収につながっていることから、Ethereumにおいて同様の傾向が見られるのであれば、ETFドリブンの価格推移も期待できるかもしれません。
24年のレポートでは、ETF承認と機関投資家による採用拡大、L2/Taproot関連の採用拡大、半減期とマイニングによるフローの変化、フィンテック系アプリとの接点拡大などを注目ポイントとして紹介しました。
今年は、OP_CATやBitVMといった、Bitcoinの拡張性・プログラマビリティを高める技術の実装・発展に注目しています。
また、これらの技術・アップグレードが実現されることで、Bitcoinのレイヤー2技術の安全性も高まることが期待されており、現在のようなセキュリティの前提に差異のあるエコシステムから、より堅牢なシステムが登場する可能性に期待しています。
Bitcoinレイヤー2関連プロジェクトの分類・比較および考察レポート
昨年は、Taproot Assetなどを注目分野として挙げていましたが、同様にTaprootを利用するゼロ知識証明のVerifierと、これに伴う多機能化が進む一年となるのではないでしょうか。
アセットとしてのBitcoinは言わずもがな、より多くの企業による採用が期待されます。
また、企業のみならず、国家からの準備通貨としての注目も高まっている状況にあり、21年のエルサルバドルだけでなく、ロシア、中国、ブラジル、米国などさまざまな国での戦略的な保有が噂・検討されている段階にあります。
24年のレポートでは、現物ETFの承認予想、ステーキングの利回り低下によるLSTの減速、Proto Dankshardingによるレイヤー2の成長加速などについて言及しました。また取引所レイヤー2とビジネスとの相性の良さについても注目ポイントとして取り上げています。
ETFのフローや前回の大型アップグレードDencunを背景としたファンダメンタルでは、24年はETHの価格にポジティブに影響する要素はなく、24年は軟調な一年となりました。Eigen Layerの登場によるLRTの導入などは、減速するLSTをカバーし大きなテーマの一つとなりました。
一方で、レイヤー2を通じたユーザー獲得という観点では、他のL1+実行レイヤーに劣らない成長を見せており、取引所レイヤー2の流れが現実的となっています。
Base NFT (PFP) コレクション 市場調査・考察レポート
今年は、EVMのみならずより高速な実行レイヤーの登場を控えており、さらなるユーザーの増加に対応しうるだけの基盤が整っていく状況となることが予想されます。
また、Q1に控える大型アップグレード「Pectra」では、コントラクトではなくEOAを通じたアカウント抽象化の提案が盛り込まれており、Ethereumを利用しないユーザーへのアプローチがさらに容易になります。このほか、データ可用性サンプリングやステーキング上限の引き上げなど、複数のアップグレードが含まれています。
Ethereumのトランザクションの大部分がレイヤー2を通じて行われており、今後もロールアップ中心でユーザーを獲得していく流れが最も現実的です。一方で、EVM自体は他の実行レイヤー、特に新興のL1と比較するとパフォーマンスが悪く、レイヤー2の実行環境は多様化していく流れが妥当と考えられます。
ハイパフォーマンスなSolanaは、Paypalによる採用(pyUSD)や、スマホ決済を通じたオンランプ、ミームコインの取引などを通じて、非常に多くのユーザーの獲得に成功しました。
今年は、新たな高速クライアント「Firedancer」のロールアウトも予定されており、導入によりさらにパフォーマンスが向上します。
このほか、トークン拡張を通じた秘匿転送の実現、ZKPの導入なども示唆されており、プライバシー周辺機能もカバーできることが実証されれば、より大規模な採用も見込めるかもしれません。
よりミクロな観点で見ると、Ethereumと比較し、リテールの小口ユーザーが多いという特徴を考慮すると、依然として高い収益性が見出せるLSTに成長余地があると感じます。
25年に関しても、米国債を担保とする新興のステーブルコインには引き続き注目しています。
パブリックチェーンを活用するトークン化債券(RWA)の動向調査
Tether社とCircle社は、USDT, USDCからの収益の多くを米国短期債から獲得しています。
同様の戦略は、クリプトネイティブなステーブルコインでも採用されており、BlackRockのBUIDLなどトークン化債券・ファンドを通じてエクスポージャーを持っています。
DeFiでのスケールにおける課題感として、一定レベルのTVL以上では高い利回りを維持することができないがために、これが大口の投資家の参入を阻む要因として認識されていました。
ここに米国債が導入されることで、デマンドサイドのサイズにかかわらず一定の利回りを維持することができます。
特にDeFiにおいては、Pendleなどレバレッジ構造を持つDeFiネイティブのプロダクトと、BUIDLのようなトークン化ファンドが融合することで、25年以降も高い利回りを維持しながらも資産規模という観点でのスケールを達成できるのではないかと思っています。
余談ではありますが、筆者が早い段階から注目しているプロダクトは、CRYPTO TIMESの新サービス「Candy Drops」でもプロダクト成長段階で取り上げているので、ぜひともご活用いただければと思います。
同様のトレンドとしては、さらなるアセットクラスのトークン化が加速していくのではないかと思っています。
MiCAを筆頭としたステーブルコイン規制、トランプ政権による米国を拠点とするビジネスの土壌が整いつつある状況を考えると、Robinhoodのようなアプリがコンプライアントな形でオンチェーンで誕生することにも期待しています。
投資家はKYCを行い、暗号通貨現物を含むトークン化された商品を自由に取引、運用できるプラットフォームを筆者としては期待しており、後述するチェーンの高速化などのトレンドと相まって、25年は現実的に実現される可能性があると考えています。
25年の個人的な注目分野の一つは、zkSNARKやzkTLSといった暗号技術の進展と採用です。
zk系の技術の特徴としては、プライバシー保護や完全性を持つ検証機能が挙げられ、KYCやロールアップなど一部ではすでに採用が進んでいます。
Ethereum DevconでJustin Drake氏より発表があった、Beamチェーン構想は、EthereumのベースレイヤーにSNARKの検証基盤を採用するというものでした。
筆者の所感としては、zkVMの採用、Shared Prover、クライアントサイドでのzk検証、ZKP向けのASIC(ハードウェア)の導入などの分野における実現の機運が高まっているように感じています。
従来のモデルと比較して、ある物事が正しく行われたことを担保する仕組みとしてzk技術はより安価かつ完全であるため、仮に25年に大きな進展がなくとも、中長期のスパンで大規模な採用が始まってもおかしくない技術であると考えています。
zkTLSは、Web2の情報やデータの完全性を担保する技術であり、予測市場などにおける活用が期待されている分野の一つです。
24年のPolymarketへの注目以後、レガシーのメディアに対する不信感が高まっており、このトレンドを解釈すると、完全性の高くよりフェアな世論形成はクリプトを通じて行われていくのではないかと考えています。
予測市場に限定せずとも、同様のプロダクトが特定の信頼できる第三者を必要とせずにフェアネスを保つためには、zkTLSのような技術が必須となると思っています。
SolanaやBaseなどが安価なブロックスペースとパフォーマンスを提供していく中で、24年はミームコインの台頭が促され、クリプトがより多くの消費者・ユーザーに対して広がっていく流れを形成しました。
既にローンチ済みのチェーンを含めて、技術的な進化を背景としたチェーンの高速化・ハイパフォーマンス化は、将来的にもあらたなユーザーの波を呼び込むためのアプリケーション・ユースケースの基盤となります。
まだクリプトに参入していない新たなユーザーを呼び込むためには、ハイパフォーマンスな基盤に加えて、チェーンや複雑な概念をそもそも理解させないチェーンやアカウント抽象化技術が重要になると考えています。
ガス代の代理決済やIntentブリッジなど、次の10億人を獲得するための基盤が整備されつつあり、25年はここから登場するマス向けのオンチェーンユースケース登場に期待したいです。
24年は、ローンチ時に極端に供給を絞ることで価格操作を容易にするLow Float High FDV問題の顕在化、またこれに対照的な形で登場したPump[.]fun等を通じたミームコインのフェアローンチなどから、従来のVCを通じた資金調達の仕組みが問題提起されているように感じます。
また、Hyperliquidの価格上昇の条件の一つとして、VCが関与していなかったことなどを考慮すると、今後リテール投資家の間に、不利な条件でのローンチには参加を控えるようなコンセンサスが生まれていくのではないかと感じています。
[.]fun系でのトークンローンチは、これを顕著に反映したものであると言えます。
同時に、VCと同条件のラウンドで資金調達に参加できるプラットフォームなども登場しており、ローンチだけでなく、プライマリ投資においても構造に変化が見られつつあります。
筆者としては、次のトレンドの変化先は、再びフェアネスを重視したトークン設計、ローンチ設計が25年以降再度注目されることを期待しています。
・本記事は情報提供のために作成されたものであり、暗号資産や証券その他の金融商品の売買や引受けを勧誘する目的で使用されたり、あるいはそうした取引の勧誘とみなされたり、証券その他の金融商品に関する助言や推奨を構成したりすべきものではありません。
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・筆者は、本文中で触れている暗号資産を保有している可能性があります。こちらのレポートに書かれている見解は、筆者の個人的なもので、情報提供のみを目的としています。トークンの売買やプロトコルの利用を推奨するものではありません。また、本レポートは投資アドバイスではないことをご留意ください。
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