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投稿日 2025年 04月 09日
目次
本レポートは、日本で新たに導入が検討されている「暗号資産仲介業」について、その制度概要から市場への影響、潜在的リスク、そして将来的なビジネス展開の可能性までを解説・考察します。
2025年3月、この仲介業創設を含む資金決済法改正案が閣議決定・国会に提出されました。利用者保護と金融イノベーション促進の両立を目指す動きとして注目されます。
重要な点として、本レポート執筆時点(2025年4月)で、この制度はまだ法案段階であり施行されていません。 本レポートの内容は現時点での公開情報に基づくものであり、今後の国会審議で法案が成立しない、あるいは内容が修正される可能性があることをご留意ください。
本レポートでは、まず仲介業の定義や背景、法改正の要点、既存の交換業との違いや特徴を整理します。続いて、市場参加者への影響や潜在的リスクを分析し、最後に、新たなプレイヤーの参入可能性、具体的なビジネスモデル、ステーブルコインやDeFiとの関わりといった観点から、その将来性を考察します。
本レポートが、暗号資産仲介業に関する多角的な理解の一助となれば幸いです。
暗号資産仲介業(以下、仲介業)とは、暗号資産交換業者(以下、交換業者)と、暗号資産の売買・交換を行いたい利用者の間を取り次ぐだけのビジネスモデルです。
いわば「暗号資産取引の仲人・代理店」にあたる業態で、仲介業者自身は暗号資産の売買や交換を直接行いません。あくまで利用者と交換業者をマッチングする(媒介する)ことに特化しており、利用者から資金や暗号資産を預かることもありません。
例:利用者が暗号資産を購入したい場合 仲介業者は利用者が希望する条件に合った交換業者を選び、スムーズに取引が成立するよう取り次ぐだけで、自身が保管や売買を行うわけではありません。
現在の法制度では、暗号資産ビジネスを営むには金融庁への交換業者としての登録が必要とされ、登録業者には厳しい財務要件やAML/CFT(マネロン対策)が課されています。
実際には資産を扱わず、利用者同士の売買を単にマッチングするだけの事業者であっても、暗号資産交換業」とみなされ、交換業者と同等の規制を受けなければならない状況でした。そのため、紹介業のような純粋な仲介ビジネスが法律上認められず、参入障壁が高いままの状態でした。
そこで、仲介業という新たな制度を設けることで、「資産を預からないサービス」には軽めの規制を適用しつつ、利用者保護やマネロン対策も確保しようという狙いがあります。
2025年3月7日に閣議決定・国会提出された資金決済法改正案では、これらの課題に対応するために「暗号資産仲介業」という新たな事業区分を創設することが盛り込まれました。この改正案の主なポイントは次のとおりです。
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